7月1日、「アウト・オブ・オーダー」の宣材撮影が行われた。
BGMに洋楽が流れる、シャレた雰囲気の中、まずはユースケ・サンタマリアのスチール撮影からスタートした。

ユースケの役どころは、首相を補佐する副大臣「リチャード」。
窮地に陥ると、口からでまかせの「その場しのぎ」を発揮し、トラブルをなんとか回避させていくという役どころだ。
衣裳は、ユースケによく似合うシックなグリーングレーのダブルのスーツに、黒のネクタイ、左のポケットには青いチーフと、ダークトーンではあるが、その微妙な色のバランスが品よく決まっている。ウェーブがかかった、ユースケのヘアスタイルもそれらにマッチし、一筋縄ではいかない政治家の雰囲気が良く出ている。

ユースケがカメラの前に立つ。左ポケットに手を入れ、斜に構えると、「リチャード」がそこに現れた。もう、役のイメージそのままだ。自らカメラをにらみつけたり、ほくそ笑んで見たり、ネクタイに手をかけてみたりと、どのポーズも様になる。
チェックは特にこだわらず、「おまかせしますよ」とにこやかに待ちながら、和やかな雰囲気で撮影が進む。
何パターンかの撮影の中、静かな顔やニヒルな顔など、カメラマンの要求にもどんどん応え、乗ってくる。虎視眈々と野心がある感じがどんどん増していく。
アドリブを発し場を和ませながら、かっこいいリチャードを決めてくる。手をあげて笑顔のポーズをとるなど、おちゃめな一面もみせ、どこかキュートで、ところどころに笑いがこぼれ、その場にいた女性スタッフたちから、「かわいい！」と一斉に声が上がる。
途中で、演出家のマギーからユースケに「かっこいいよ！」と声がかかり、場はさらに盛り上がりをみせた。

スチール撮影のあとは、動画コメントの撮影だ。
「出演のオファーを受けて」という質問に、「脚本のおもしろさに負けて、ついつい受けてしまった」という言葉が印象的だった。
撮影の合間には、「とにかくセリフが多いのをなんとかして！」と、笑いながらマギーに話すユースケ。マギーも「あれをユースケさんがやってくれるのがいいんだよ」と笑いながら答える。
この掛け合いを見ただけでも、これは絶対、面白い舞台になる！と確信する。

次は、中村倫也の登場だ。
中村の役どころは、ユースケ演じる、リチャードの私設秘書「ジョージ」。
リチャードの無理難題に振り回されながらなんとか解決しようと奮闘し、様々なトラブルに巻き込まれていく役どころだ。
衣裳は、若手秘書をイメージさせるような、品のいい細身の、茶系の薄いチェックが入ったスーツ。中には形の変わった白いベストに、エンジ色のネクタイが決まっている。ややかっちり目のヘアスタイルが、中村の凛々しさを引き立たせている。

まずは、動画コメント撮影からスタートする。
今回この作品のオファーを受けて、「とてもうれしかった」という中村。20代前半でマギーの演出舞台に出演しているとのことで、すでに気心もしれており、ワクワクしている様子が手に取るように伝わってくる。中村の「とにかく楽しい舞台になればいいな」という言葉に、期待せずにはいられない。

いよいよ、中村とユースケの、２ショットスチール撮影が始まる。
実はふたりは、同じ作品に出たことはあっても、シーンが一緒になったことはないという。
でも並んだ瞬間、もうずっと時間を共にしているような、息の合ったバディ感があふれ出した。
あうんの呼吸で、ポーズを決めていく。どちらともなく、面白いポーズがさく裂する！
かと思えば、シリアスな顔を決める。カメラマンからも「いいね、そういう感じで！」と声がかかる。
お互い意識しながらも、楽しんでいる雰囲気が伝わる。それを楽しそうにマギーも見つめていた。

そして、中村のスチール撮影に。
役のイメージをスタッフと再度確認し、様々な顔を見せていく。腕を組んだり、ジャケットやネクタイに手をかけたりしながら、ポーズを決める。表情もそれに合わせて変わっていく。さりげなく立っているだけなのに、絵になり、かっこいい。　ジョージという生真面目であり、どこか憎めないキャラクターを昇華して表現しているように見えた。カメラマンも思わず、「いい顔してるね」と声をかける。
途中、モニターのチェックも欠かさない。意見を交わしながら、カメラマンたちとイメージを共有していく。自分の中でのジョージ像に向き合って、少しでもイメージに近いものを具現化させようとしているように見えた。
さらにカメラマンからの「もっと遠くを見る感じ」という指示で、目の表情が一気に変わっていく。本当に表現力豊かな俳優だと思わされた。バストアップの撮影でも、面白いようにポーズが決まって、同時にチェックをしているスタッフ陣からは「これはいい！」とばんばん声があがっていた。
いつものやさしい雰囲気とはまた違う、凛々しい中村に期待が募る。

最後に、マギー、中村、ユースケの3人で記念に撮ろうとスタッフがスマホを構えると、カメラマンが撮影してくれることに。
マギーを真ん中にして、ラフなポーズで、リラックスしながら撮影が進む。

すべての撮影が終わり、マギーの「次会うのは稽古場だね」という言葉に、笑顔で答える中村とユースケ。その後も、名残惜しそうに会話が続く。
すでに座組として、いい雰囲気ができあがっている。これに稽古を重ねていったら、間違いなく最高に楽しい舞台が生まれるだろう。本番がとても楽しみになる撮影だった。

文　スギタクミ